💡 この記事でわかること
- 自治体が動画制作を発注するときの入札方式の種類と、プロポーザルとの違い
- 動画制作の仕様書に必ず書いておくべき項目
- 修正回数・納品形式・著作権など、契約後のトラブルを防ぐための決め方
- 自治体の動画制作でかかる予算の目安と、見積もりの比べ方
- 失敗しない制作会社の選び方と、よくある失敗例への対策
「動画で市の魅力を発信したいが、入札の仕様書をどう書けばよいかわからない」。そんなお悩みを抱える自治体のご担当者様は少なくありません。
近年は、観光PRや移住促進、行政サービスの案内などに動画を使う自治体が増えています。一方で、動画制作の発注は、印刷物や物品の調達に比べて仕様を言葉にしにくいのが実情です。動画は完成形をイメージしにくいため、発注する側と制作する側で認識のずれが起こりやすい分野です。
仕様書の内容があいまいなままだと、各社の提案内容や見積金額にばらつきが出ます。その結果、公平に比べることができず、期待した品質の動画に仕上がらないこともあります。また、修正回数や納品形式、著作権の扱いを決めておかないと、契約後のトラブルにつながりかねません。逆にいえば、仕様書を丁寧に作り込むことが、動画制作を成功させる最大のポイントです。
本記事では、アニメーション動画制作を手がけるカプセルメディアが、自治体の動画制作入札について解説します。入札方式の種類やプロポーザルとの違いといった基礎知識から、仕様書に書くべき項目まで網羅しました。さらに、予算の目安や制作会社の選び方、よくある失敗例とその対策もご紹介します。内容は、私たちが実際の制作現場で得た知見をもとにまとめています。
はじめて動画制作の入札を担当される方でも、そのまま実務に活かせる内容です。ぜひ最後までお読みいただき、仕様書の作成や事業者選定の参考にしてください。
自治体の動画制作の費用相場と予算の考え方

自治体の動画制作費は、動画の種類や仕様によって大きく変わります。仕様書の書き方次第で、見積額が数十万円単位で変わることもあります。ここでは費用相場の目安と、予算を決めるときのポイントを解説します。
動画の種類別に見る費用相場の目安
自治体の案件でよく見られる動画の種類と、費用の目安を表にまとめました。金額は、尺1〜3分の動画1本あたりを想定した一般的な目安です。
| 動画の種類 | 費用の目安(税込) | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ホワイトボードアニメーション | 20万〜60万円 | 制度説明・手続き案内 | 低コストで、短納期にも対応しやすい |
| モーショングラフィックス | 30万〜100万円 | 施策紹介・統計データの可視化 | 図解や数字をわかりやすく見せられる |
| 2Dキャラクターアニメーション | 50万〜200万円 | 啓発・子ども向け・観光PR | 親しみやすく、幅広い世代に届く |
| 実写+アニメーション合成 | 100万〜300万円 | シティプロモーション・移住促進 | 地域の実際の風景と図解を組み合わせられる |
| 3DCGアニメーション | 150万〜500万円以上 | 施設紹介・防災シミュレーション | 立体的に表現でき、リアリティが高い |
アニメーション動画は、実写と違ってロケや出演者の手配が要りません。天候や撮影許可に左右されないため、スケジュールを組みやすいのが強みです。制度が改正されたときも、テロップや一部のカットだけを差し替えられます。長く使うほど運用コストを抑えやすい点も、自治体に選ばれる理由です。ただし、キャラクターを新しく作る場合は、デザイン費が別にかかります。既存のマスコットキャラクターを使えば、費用を抑えられることがあります。表の金額は業界で一般的な目安で、仕様の内容によって上下する点にご注意ください。なお、カプセルメディアの料金はこの相場とは別体系です(詳しくは記事末尾をご覧ください)。
費用を左右する仕様書の主な項目
同じ長さの動画でも、仕様書に入れる項目によって費用は大きく変わります。特に影響が大きいのは、次のような項目です。
| 仕様書の項目 | 費用への影響 | 記載のポイント |
|---|---|---|
| 動画の尺・本数 | 大 | 「〇分程度」と幅を持たせ、本数を明記する |
| キャラクター制作 | 大 | 新しく作るのか、既存キャラクターを使うのかを明記する |
| ナレーション | 中 | プロのナレーターか、職員の声かを指定する |
| 字幕・多言語対応 | 中 | 対応する言語の数と、字幕の有無を記載する |
| 手話・音声ガイド | 中 | アクセシビリティ対応の範囲を示す |
| 派生版の制作 | 中 | SNS用の短尺版や縦型版が必要かを記載する |
| 修正回数 | 小〜中 | 工程ごとに修正回数の上限を決める |
| 著作権の取り扱い | 小〜中 | 譲渡の範囲や二次利用の条件を明記する |
中でも見落としやすいのが、派生版と著作権の取り扱いです。「YouTube用に加えて、SNS用の15秒版も欲しい」という例は少なくありません。契約後に追加すると、別の費用や契約変更の手続きが必要になります。著作権を自治体に譲渡する場合、制作会社によっては譲渡料がかかります。修正回数を「無制限」にすると、見積もりが高めになりがちです。制作会社が、修正が増えるリスクを金額に含めるためです。必要な項目を仕様書に書いておけば、各社の見積もりを比べやすくなります。その結果、適正な価格で質の高い動画を調達しやすくなります。
予算設定と参考見積もり取得のポイント
予算を適切に決めるには、複数の制作会社から参考見積もりを取るのが基本です。1社だけの見積もりでは、金額が相場より高いのか安いのか判断できません。3社ほどから取り、金額と内訳を比べると相場がつかみやすくなります。
参考見積もりを頼むときは、仕様書の案を添えて条件をそろえましょう。条件がそろっていないと、各社の金額を正しく比べられないためです。内訳は、企画構成費・デザイン費・アニメーション制作費などに分けてもらいます。項目ごとの金額がわかれば、予算に合わせて仕様を調整する判断もしやすくなります。
契約方式の選び方も、費用と品質に関わる大切なポイントです。価格だけで決まる一般競争入札は、費用を抑えやすい一方、品質にばらつきが出やすくなります。企画力や表現力を重視するなら、プロポーザル方式を検討するとよいでしょう。少額の案件では、随意契約で発注できる場合もあります。その金額の基準は、地方自治法施行令や各自治体の規則で決められています。基準は改正されることもあるため、最新の内容を担当部署で確認しておきましょう。
また、年度末は制作会社の繁忙期で、スケジュールに余裕がなくなりがちです。早めに発注すれば、十分な制作期間をとれ、品質も確保しやすくなります。
💡筆者のひとこと
ご相談をいただく中で多いのが、「予算はもう決まっているけれど、何ができるかわからない」というお声です。金額だけを先に固めてしまうと、本当に必要な表現をあきらめることになりかねません。参考見積もりの段階で「この予算ならここまでできる」と率直にお伝えするのも、制作会社の大切な役目だと考えています。
自治体の動画制作入札で失敗しない選び方・ポイント・注意点

自治体の動画制作では、仕様書の書き方と入札方式の選び方で成果が大きく変わります。ここでは、担当者が押さえておきたい3つのポイントを解説します。
仕様書には「目的・ターゲット・活用場面」を具体的に書く
動画制作の仕様書で最も重要なのは、制作目的を明確にすることです。「市のPRのため」だけでは、制作会社ごとに解釈が分かれてしまいます。誰に、何を伝え、どんな行動をしてほしいのかまで書き込みましょう。
たとえば移住促進なら「首都圏の子育て世帯」のように対象を絞ります。そのうえで「移住相談窓口への問い合わせ増加」など、目指す成果を示します。目的とターゲットが明確であれば、制作会社も的確な企画を立てられます。
活用場面の記載も欠かせません。YouTube広告、庁舎のサイネージ、説明会での上映では最適な尺が異なります。縦型か横型か、音声なしで視聴されるかによっても構成は変わります。こうした前提が曖昧だと、提案内容がバラバラになり比較が難しくなります。結果として、価格だけで選ぶしかない状況に陥りがちです。
また、表現手法を実写に限定すべきかどうかも事前に検討しておきましょう。制度説明や手続き案内など抽象的な内容は、アニメーションが得意とする分野です。手法を細かく指定しすぎず、「わかりやすさ重視」と書くのも一つの方法です。制作会社から幅広い提案を引き出すことで、より効果的な動画に近づけます。
納品形式・権利関係・修正回数を明記する
後々のトラブルを防ぐには、納品物の条件を細かく定めておくことが大切です。具体的には、解像度、ファイル形式、尺のバリエーションなどを記載します。「本編90秒のほか、15秒・30秒の短縮版も納品」のように書くと明確です。字幕の有無や、手話・多言語対応の要否も忘れずに記載しましょう。自治体の動画は、アクセシビリティへの配慮が求められる場面が多いためです。
特に注意したいのが、著作権の取り扱いです。著作権の帰属先や、著作者人格権を行使しない旨を明記しておきましょう。BGMやナレーション、素材写真の利用範囲も確認が必要です。「二次利用は可能か」「利用期限はあるか」を事前に決めておきます。アニメーションの場合、キャラクターを他の広報物に転用するケースもあります。キャラクターの権利をどこまで自治体に帰属させるかも整理しておきましょう。
さらに、修正回数と確認工程も仕様書に盛り込むべき項目です。絵コンテ、ラフ映像、完成版など、どの段階で何回確認するかを定めます。修正回数を明記しないと、追加費用やスケジュール遅延の原因になります。庁内の決裁にかかる期間も考慮して、余裕のある工程を組むことが重要です。
価格だけでなく実績・提案力で評価できる方式を選ぶ
入札方式の選び方も、動画の品質を大きく左右するポイントです。価格のみで決まる一般競争入札は、公平性が高い一方で注意点もあります。最低価格の事業者に決まるため、品質面の差が評価に反映されにくいのです。動画は完成するまで品質を判断しにくく、価格競争に陥りやすい分野です。
そのため、企画提案を評価するプロポーザル方式や総合評価方式が適しています。評価基準には、制作実績、企画内容、制作体制、スケジュール管理などを設けます。過去に自治体案件を手がけた実績があるかも、重要な判断材料です。行政特有の表現ルールや、庁内の確認フローに慣れているかが分かるからです。
予算額の設定にも注意が必要です。相場より極端に低い予算では、応募が集まらない可能性があります。事前に複数社から参考見積もりを取り、適正な金額を把握しておきましょう。参考見積もりを依頼する際に、仕様書案への意見を聞くのも有効です。専門家の視点から、抜け漏れや現実的でない条件に気づけることがあります。適切な方式と予算を設定することが、成果につながる動画制作の第一歩です。
仕様書の記載チェックリスト
ここまでのポイントを、仕様書を作るときのチェックリストにまとめました。公告前の最終確認にお使いください。
| チェック項目 | 記載例 | 確認 |
|---|---|---|
| 制作目的 | 移住相談窓口への問い合わせを増やす | □ |
| ターゲット | 首都圏に住む30代の子育て世帯 | □ |
| 活用場面・媒体 | YouTube広告、庁舎サイネージ、説明会 | □ |
| 尺・本数 | 本編90秒×1本、15秒・30秒の短縮版 | □ |
| 納品形式 | MP4(フルHD)、横型・縦型 | □ |
| アクセシビリティ | 字幕あり、多言語・手話の要否 | □ |
| 著作権・二次利用 | 帰属先、著作者人格権の不行使、転用範囲 | □ |
| 修正回数・確認工程 | 絵コンテ段階2回、動画段階2回 | □ |
| 契約方式・評価基準 | プロポーザル方式、評価項目と配点 | □ |
💡筆者のひとこと
仕様書は「書きすぎると提案の幅が狭まり、書かなさすぎると比較ができない」という、さじ加減の難しい書類です。目的とターゲットはしっかり書き込み、表現方法は少し余白を残す。私たちが拝見してきた中では、このバランスの仕様書ほど、各社の個性が出たよい提案が集まっている印象があります。
仕様書を作り込むメリット・効果・成果

メリット1:見積もりの精度が上がり、適正価格で発注できる
仕様書を具体的に書くと、各社の見積もりが同じ条件で比べられるようになります。動画制作の費用は、尺・表現手法・修正回数によって大きく変わります。たとえば「PR動画を1本制作」とだけ書くと、各社の前提がそろいません。60秒の簡易アニメで見積もる会社もあれば、3分のフルアニメで出す会社もあります。すると見積額に数倍の差が出て、比較そのものが難しくなります。
一方で「尺90秒、2Dアニメーション、ナレーション付き」と書いた場合はどうでしょうか。各社が同じ条件で積算するので、金額差は提案内容や体制の差として読み取れます。修正回数も「絵コンテ段階で2回、動画段階で2回」のように決めておきましょう。追加費用がかかる条件がはっきりし、契約後の予算超過を防げます。
予定価格の根拠を説明しやすくなる点も大きなメリットです。同じ条件で3社から参考見積もりを取れば、積算根拠としてそのまま使えます。その結果、庁内決裁や議会・監査への説明もスムーズになります。「高すぎる」「安すぎて品質が心配」といった判断のブレも小さくなります。
メリット2:手戻りが減り、スケジュールどおりに納品できる
2つ目のメリットは、制作途中の手戻りを大きく減らせることです。自治体の動画制作では、年度末の納期が決まっていることがほとんどです。そのため、途中で方向性が変わると、スケジュールがすぐに厳しくなります。よくあるのは、完成直前に「イメージと違う」と言われて作り直すケースです。
仕様書に工程と確認ポイントを書いておけば、このリスクを抑えられます。たとえば納期を契約日から60日とし、次のように区切る方法があります。
| 工程 | 期間の目安 | 発注者の確認事項 |
|---|---|---|
| 企画・構成案 | 10日 | 伝える内容と順番 |
| シナリオ・絵コンテ | 15日 | セリフと画面の流れ |
| デザイン・アニメーション制作 | 25日 | キャラクターと色味 |
| 修正・納品 | 10日 | 字幕・表記の最終チェック |
各工程で承認を取れば、後になってから大きく覆るリスクを抑えられます。とくにアニメーションは、絵コンテの段階で完成形をかなり具体的に想像できます。この段階で関係課の確認をすませるよう、仕様書に書いておくのがおすすめです。担当者が異動しても、仕様書があれば引き継ぎで困りません。
メリット3:住民に届く動画になり、成果を数字で測れる
3つ目のメリットは、動画を「作って終わり」にせず、成果につなげられることです。仕様書に目的とターゲットを書くと、制作会社はそれに合わせた提案を出せます。たとえば「子育て世代に向けて、オンライン申請の手順を伝える」と書いた場合です。制作会社はスマホでの視聴を前提に、縦型や短い尺の構成を提案できます。
成果目標を数字で書いておくと、事業の評価もしやすくなります。目標の例としては、次のようなものがあります。
- 公開後3か月でYouTube再生回数1万回
- 窓口での同じ質問の件数を前年より20%減らす
- 視聴後アンケートで「わかりやすい」と答えた人を80%以上にする
数字の目標があると、制作会社も冒頭5秒の見せ方や尺に工夫をこらします。字幕の有無や、英語・中国語・韓国語の3言語対応といった要件も書いておきましょう。高齢者や外国人住民を含め、より多くの人に情報が届くようになります。アクセシビリティに配慮した動画は、自治体の姿勢を示すことにもつながります。
公開後の効果測定まで仕様書に入れておけば、次年度の改善にも活かせます。効果が見える事業は、翌年度の予算要求でも説明しやすくなります。
💡筆者のひとこと
ご担当者さまが異動されたあと、後任の方が仕様書を読み返して「何のための動画だったのか」がすぐわかる。それだけでも、仕様書を丁寧に作る価値は十分にあると思います。作った動画が何年も大切に使われていくのは、制作する側にとっても本当にうれしいことです。
自治体の動画制作入札・仕様書の活用例(モデルケース)

仕様書の書き方ひとつで、集まる提案の質は大きく変わります。ここでは、自治体で多い分野を3つ取り上げます。よくある発注パターンをもとにした架空のモデルケースとして紹介します。特定の自治体の実例や、カプセルメディアの制作実績ではありません。仕様書作成の参考にしてください。
【観光・移住促進】ターゲットを仕様書に明記して提案の質を高めるケース
たとえば、ある町が移住促進動画を入札で発注する場面を考えてみましょう。以前の仕様書には「町の魅力を伝える動画」としか書かれていませんでした。そのため、毎回あれもこれもと詰め込んだ内容になっていました。そこで担当課は、仕様書の段階でターゲットを絞り込みました。「首都圏に住む30代の子育て世帯」と具体的に書いたのです。あわせて、動画を掲載する媒体も仕様書に盛り込みました。YouTube広告やSNS向けに、15秒版と30秒版の短い動画も求めました。評価項目には「ターゲット理解度」と「拡散力の工夫」を加えました。その結果、方向性のそろった質の高い提案が集まりました。
採用されたのは、アニメーションで町の暮らしを描く企画です。アニメーションなら、天候や季節に関係なく制作を進められます。撮影許可や出演者の調整がいらない点も評価のポイントになります。このように的を絞ると、移住相談窓口への問い合わせ増加も期待しやすくなります。成功の決め手は「誰に・どこで・何を伝えるか」を明記したことです。これを書いておけば、事業者は企画の方向性を誤らずに済みます。
【防災・危機管理】多言語化と更新しやすさを求めて長く使える動画にするケース
次は、ある市の危機管理課が避難行動を伝える啓発動画を発注するケースです。市内には外国籍の住民が多く、言語の壁が課題になっていました。そこで仕様書に、日本語・英語・中国語・ベトナム語への対応を入れました。さらに、字幕の挿入と音声なしでも伝わる構成を必須にしました。聴覚に障がいのある方への配慮として、手話ワイプの有無も提案対象にしました。
もう一つ工夫したのが「更新しやすさ」を仕様に入れたことです。防災情報は、ハザードマップの改訂などで内容が変わります。そこで、編集できる元データを納品物に含めると明記しました。アニメーションは、一部の差し替えを低コストで行いやすい手法です。避難所の名前や地図だけを直すといった修正にも柔軟に対応できます。納品後は、防災訓練や学校の授業、窓口のモニターなどで活用できます。一本の動画を複数年にわたって使えるため、費用対効果も高めやすくなります。仕様書で「使い続ける前提」を示すことが、長く使える動画につながります。
【福祉・行政手続き】複雑な制度をアニメーションで分かりやすく伝えるケース
最後は、ある県の福祉部局が子育て支援制度の周知に悩んでいるケースです。制度の種類が多く、対象者や申請方法が分かりにくかったのです。窓口には同じ質問が繰り返し寄せられ、職員の負担も増えていました。そこで、制度をまとめて説明する動画を入札で発注しました。
仕様書では「伝えるべき情報」に優先順位をつけて書きました。まず、対象となる条件を一番に伝えるよう求めました。次に申請の流れ、最後に問い合わせ先という順番を示しました。加えて、専門用語を使わないことを品質要件に入れました。監修の段階で、実際に制度を利用する保護者に見てもらう工程も設けました。
採用されたのは、キャラクターが手続きを案内するアニメーション案です。文字だけでは伝わりにくい流れも、図解の動きで直感的に理解できます。実写と違って特定の人物が映らないため、プライバシーへの配慮もしやすくなります。窓口での基本的な問い合わせが減れば、職員は個別の相談に時間を使えるようになります。こうした業務負担の軽減も、動画活用で期待できる成果の一つです。制度の説明動画は、仕様書で「何をどの順番で伝えるか」を示すと効果が上がります。
3つの事例に共通するのは、仕様書で目的と使い方を具体的に示した点です。ターゲット、掲載媒体、更新の方針、伝える順番を書いておきましょう。そうすれば、事業者から的確な提案を受けやすくなります。カプセルメディアでは、300社以上の動画制作で培ったノウハウを活かします。仕様書づくりの段階からご相談いただけます。
💡筆者のひとこと
モデルケースを書きながら改めて感じたのは、よい動画は「誰に届けたいか」が決まった瞬間に半分できている、ということです。住民の方の顔が浮かぶ仕様書をいただくと、私たち制作側も自然と力が入ります。ぜひ、届けたい相手の姿を思い浮かべながら書いてみてください。
自治体の動画制作における制作の流れ・手順

自治体の動画制作は、民間企業の発注とは進め方が異なります。入札や仕様書の作成など、公共調達ならではの手順があるためです。ここでは、準備から納品までを3つのステップに分けて解説します。
【STEP1】目的・要件の整理/予算の確保
└ ターゲット決定 → 参考見積もり取得 → スケジュール逆算
↓
【STEP2】仕様書の作成/入札・公募の実施
└ 仕様書作成 → 方式選定 → 公告・質問受付 → 審査・契約
↓
【STEP3】制作進行/納品・検収
└ キックオフ → 絵コンテ確認 → 制作・修正 → 検収・納品
ステップ1:目的・要件を整理し予算を確保する
最初のステップは、動画制作の目的と要件を整理することです。「誰に」「何を」「どう伝えるか」を決めておかないと、仕様書の内容がぶれてしまいます。たとえば移住促進なら首都圏の子育て世帯、防災啓発なら高齢者というように、対象を絞り込みます。対象が決まれば、適した尺や表現手法、配信媒体も自然と見えてきます。
次に、予算の目安を把握します。アニメーション動画は、尺や表現の複雑さによって費用が大きく変わります。複数の制作会社から参考見積もりを取り、相場感をつかんでおくと安心です。参考見積もりは、予定価格を積算する際の根拠としても活用できます。
あわせて、公開時期から逆算したスケジュールも組み立てておきましょう。入札公告から契約までには、数週間から1か月程度かかるのが一般的です。制作期間も含めると、公開希望日の半年前には準備を始めるのが理想です。庁内の関係部署や首長への説明が必要な場合は、その期間も見込んでおきます。目的・ターゲット・予算・スケジュールの4点を1枚にまとめておくと、後の工程がスムーズに進みます。
ステップ2:仕様書を作成し入札・公募を実施する
要件が固まったら、仕様書を作成します。仕様書には、業務の目的、動画の尺と本数、納品形式、納期を必ず記載します。字幕や音声ガイドなど、アクセシビリティ対応が必要かどうかも明記しましょう。著作権の帰属や二次利用の範囲も、後のトラブルを防ぐために欠かせない項目です。
表現に関わる部分は、条件を細かく決めすぎないことがポイントです。「親しみやすいアニメーション」のように方向性だけを示すと、制作会社の提案力を引き出せます。
仕様書が完成したら、入札方式を選びます。価格だけで決める一般競争入札は、品質の差が出にくい定型業務に向いています。一方、動画制作は企画力で成果が変わるため、公募型プロポーザル方式が適しています。プロポーザル方式では、企画書や絵コンテ案、過去の実績を評価基準に組み込みます。評価項目と配点を事前に公開しておくと、提案の質がそろい比較しやすくなります。公告後は質問の受付期間を設け、回答を参加者全員に公平に共有しましょう。
ステップ3:契約後の制作進行と納品・検収
事業者が決まり契約を結んだら、いよいよ制作が始まります。最初にキックオフ会議を開き、目的やターゲット、スケジュールを双方で再確認します。アニメーション動画は、企画・構成からシナリオ、絵コンテ、デザイン、アニメーション制作の順に進みます。工程ごとに確認のタイミングを設けておくと、大きな手戻りを防げます。
なかでも絵コンテは、完成イメージを固めるうえで最も重要な確認ポイントです。この段階で庁内の関係者に回覧し、意見を集約しておくと後の修正が少なくなります。修正依頼は担当窓口を一本化し、まとめて伝えるのが効率的です。複数の部署から個別に指示が出ると、制作側の混乱やスケジュールの遅れにつながります。
完成後は、仕様書の内容と照らし合わせて検収を行います。尺や解像度、字幕の有無、ファイル形式などをチェックリストで確認しましょう。検収が済んだら、納品データと権利関係の書類を受け取って業務は完了です。公開後の再生数や住民の反応を記録しておくと、次年度の仕様書づくりに役立ちます。
カプセルメディアでは、アニメーション動画制作を企画段階からご支援しています。仕様書づくりの相談や参考見積もりのご依頼も、お気軽にお問い合わせください。
💡筆者のひとこと
制作中にいちばんスムーズだと感じるのは、修正のご意見を窓口の方がまとめて伝えてくださる案件です。庁内の調整は本当に大変だと思いますが、その一手間が完成度にそのまま表れます。私たちも確認しやすい資料づくりで、ご担当者さまの負担を少しでも軽くできるよう心がけています。
外注と内製を比較|自治体の動画制作はどちらを選ぶべきか

自治体の動画制作には、大きく「外注」と「内製」の2つの方法があります。入札で外注する場合は、仕様書の作成が欠かせません。一方、職員が内製する場合は、発注の手続きが不要です。どちらが適しているかは、動画の目的や予算、庁内の体制によって変わります。ここでは両者の違いを比べ、選び方のポイントを解説します。
外注と内製の違いを比較表で整理
まずは、外注と内製の主な違いを表にまとめます。
| 比較項目 | 外注(入札・委託) | 内製(職員が制作) |
|---|---|---|
| 品質・表現力 | ◎ 専門的な品質を確保しやすい | △ 担当者のスキルに左右される |
| アニメーション表現 | ◎ 図解やキャラクターも対応可能 | × 専用ソフトと技術が必要 |
| 費用 | 制作費が予算として発生する | 人件費・機材費が見えにくい |
| 制作期間 | 入札手続きを含め数か月かかる | 短期間で制作・公開できる |
| 職員の負担 | 仕様書作成・進行管理が中心 | 企画から編集まで全て担当 |
| 修正・更新 | 契約範囲内で対応 | いつでも自由に修正できる |
| ノウハウの蓄積 | 庁内に残りにくい | 残るが異動で途切れやすい |
| 著作権 | 契約で帰属を決める必要がある | 原則として自治体に帰属 |
比較表のとおり、両者には一長一短があります。外注の最大のメリットは、専門的な品質を確保できる点です。企画や脚本、デザイン、ナレーションまでプロが一貫して担当します。特にアニメーション動画は、専用のソフトと技術が必要です。職員が一から習得するのは、現実的ではありません。
一方で外注には、入札や契約の手続きが伴います。仕様書の作成、公告、審査など、発注までに時間がかかります。予算も前年度から計画し、確保しておく必要があります。
内製の強みは、スピードと柔軟性です。イベント告知など、すぐに発信したい動画に向いています。ただし、職員の人件費や機材費は見えにくいコストです。「内製なら費用はかからない」と考えず、総コストで比較しましょう。また外注する場合は、著作権の帰属を契約で明確にしておくことが大切です。SNSでの再編集など二次利用を想定するなら、仕様書に明記しておきましょう。
外注(入札・委託)が向いているケース
外注が向いているのは、品質が成果に直結する動画です。代表的なケースを紹介します。
1. 観光PR・移住促進・シティプロモーション
外部の人に向けた動画は、自治体の「顔」になります。映像の質が低いと、地域のイメージまで損なうおそれがあります。競合する自治体も多いため、プロの企画力が効果を左右します。
2. 制度や手続きの説明動画
子育て支援や税、防災などの制度は、内容が複雑になりがちです。こうしたテーマには、アニメーションによる図解が効果的です。文字だけでは伝わりにくい流れも、直感的に理解してもらえます。
3. 長期間使い続ける動画
数年にわたり窓口やWebで流す動画は、外注の費用対効果が高まります。1回あたりの視聴コストで考えると、投資する価値は十分にあります。
4. 多言語化やアクセシビリティ対応が必要な動画
字幕や手話、外国語ナレーションには専門的な対応が求められます。外国人住民や観光客に向けた動画では、外注のほうが安心です。
外注で成果を出すには、仕様書の質が重要です。目的やターゲット、尺、納品形式を具体的に記載しましょう。内容が曖昧なままだと、提案の質や見積もりにばらつきが出ます。企画力を重視するなら、価格だけで決める一般競争入札は不向きです。プロポーザル方式を採用し、提案内容で選定する方法も検討しましょう。
内製が向いているケースと「併用」という選択肢
内製が向いているのは、スピードと発信頻度が重視される動画です。たとえば、次のような動画は内製でも十分に対応できます。
- 首長の定例記者会見や議会の記録映像
- 地域イベントの開催報告やダイジェスト
- SNS向けの短尺動画やお知らせ動画
- 職員向けの研修動画やマニュアル動画
これらは、完成度よりも鮮度や情報量が重視されます。スマートフォンと無料の編集アプリでも、一定の品質は確保できます。ただし、担当者に業務が集中しやすい点には注意が必要です。通常業務と並行して制作すると、負担が大きくなりがちです。
そこでおすすめしたいのが、外注と内製の「併用」です。メインとなる動画はプロに外注し、品質の高い土台をつくります。そのうえで、派生コンテンツを職員が内製で展開する方法です。
併用を成功させるポイントは、仕様書の段階で準備しておくことです。具体的には、次の内容を仕様書に盛り込みましょう。
- イラストやキャラクターなどの素材データの納品
- 編集可能なプロジェクトファイルやテンプレートの納品
- 二次利用・再編集の許諾範囲
- 内製担当者向けの簡単な操作説明
これらを用意しておけば、メイン動画の世界観を保ったまま発信を続けられます。たとえば、本編のアニメーションからSNS用のショート版を作ることも可能です。外注の品質と内製のスピードを両立できる、効率の良い方法です。
カプセルメディアでは、自治体向けのアニメーション動画制作を承っています。素材の納品や二次利用を見据えたご提案も可能です。仕様書の作成段階から、お気軽にご相談ください。
💡筆者のひとこと
「内製でがんばってきたけれど、さすがに限界で」とご相談いただくことも少なくありません。すべてを外注する必要はなく、要となる1本だけプロに任せる選び方もあります。職員の皆さまが本来の業務に集中できる形を、一緒に探していければと思います。
よくある質問(FAQ)
Q1. 自治体の動画制作は、必ず入札で発注しなければなりませんか?
必ずしも入札が必要とは限りません。地方自治法では一般競争入札が原則ですが、予定価格が規則で定める額以下なら随意契約も選べます。企画力を重視する場合は、公募型プロポーザル方式もよく使われます。選べる方式は各自治体の契約規則によって異なるため、早めに契約担当課へ相談しておくと安心です。
Q2. 仕様書には、最低限なにを書けばよいですか?
業務の目的・動画の尺・本数・納期・納品形式は必ず記載しましょう。想定する視聴者と主な掲載先を明記すると、提案の精度が上がります。字幕などのアクセシビリティ要件、著作権の帰属や二次利用の範囲、修正回数や検収の方法まで書くと、受注者との認識がそろいます。
Q3. 予定価格は、どのように見積もればよいですか?
複数の制作会社から参考見積もりを取る方法が一般的です。その際は、各社に同じ仕様条件で依頼することが大切です。尺や表現手法、修正回数が違うと金額を正しく比べられません。過去の類似案件や他自治体の契約実績も参考になります。根拠を整理しておけば、予算要求の説明もしやすくなります。
Q4. アニメーション動画は、自治体の広報に向いていますか?
はい、相性がよいといえます。制度や手続きなど、実写では伝えにくい内容を図解で整理できるためです。出演者の手配や撮影許可が不要なので、スケジュールも組みやすくなります。情報の更新や部分修正にも対応しやすく、長く使えるのも利点です。
Q5. 予算が限られている場合、どのような工夫ができますか?
まずは動画の目的を一つに絞り、伝える内容を整理しましょう。本編を1本作り、SNS用の短尺版を派生させる方法も有効です。イラストなどの素材を共通化すれば、複数本でもコストを抑えられます。要件を盛り込みすぎないことも、予算内に収めるコツです。
Q6. 動画の著作権は、自治体に譲渡してもらうべきですか?
二次利用や再編集を想定するなら、著作権の帰属先を仕様書で明確にしておくのが安心です。あわせて、著作者人格権を行使しない旨や、BGM・素材写真の利用範囲も確認しましょう。制作会社によっては譲渡料がかかるため、見積もりの段階で条件をそろえておくことが大切です。
Q7. 制作期間は、どれくらい見ておけばよいですか?
入札公告から契約までに数週間〜1か月程度かかるのが一般的です。制作期間や庁内の決裁期間も含めると、公開希望日の半年前には準備を始めるのが理想です。年度末は制作会社の繁忙期になりやすいため、早めの発注をおすすめします。
💡筆者のひとこと
入札や仕様書のご質問は、「こんな初歩的なことを聞いてもいいのかな」と遠慮される方がとても多いです。でも、はじめての担当で迷うのは当たり前のこと。小さな疑問のうちにご相談いただけると、あとで大きな手戻りにならずに済みます。
カプセルメディアのご紹介
カプセルメディアでは、単なる動画制作に留まらず、「伝えるべき価値」を深掘りする企画設計から、成果を見据えた運用サポートまで、一貫してご提供しています。
- サービスの強みが伝わりにくい
- 問い合わせや資料請求を増やしたい
- 自社の営業活動を効率化したい
そんな課題をお持ちの企業さまに、最適な動画活用をご提案します。
限られた予算でも成果が出るクリエイティブをご支援し、「選ばれる理由」が伝わる動画を一緒につくっていきます。
サービス紹介動画に少しでもご興味があれば、まずはお気軽にお問い合わせください。
カプセルメディアの料金の目安
アニメーション動画はお試し10,000円(30秒以内)、スタンダード55,000円(3分以内)、プレミアム105,000円(5分以内)の3プランです(税抜)。企画・構成案のご提案は無料で、最短2営業日で納品できます。
まとめ
自治体の動画制作で成果を出せるかどうかは、仕様書の段階でほぼ決まります。目的・ターゲット・尺・納品形式、そして著作権や修正回数。これらを具体的に書くことで、各社の提案を公平に比べられ、適正な価格で質の高い動画を調達できるようになります。
とはいえ、はじめて担当される方が、通常業務と並行して一から仕様書を作り込むのは簡単ではありません。「予算の妥当性がわからない」「何をどこまで書けばよいか迷う」。そう感じたときこそ、制作の現場を知る専門家に相談するのが近道です。公告前のひと声で、契約後のトラブルや手戻りを未然に防げます。
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カプセルメディアは、アニメーション動画を専門とする制作会社です。これまで300社以上の動画制作で培ったノウハウをもとに、仕様書づくりのご相談や参考見積もりのご依頼を無料で承っています。最短2営業日での納品にも対応しており(内容・プランにより異なります)、急ぎの案件もご相談いただけます。
| プラン | 料金(税抜) | 内容 |
|---|---|---|
| ベーシック(お試し) | 10,000円 | 30秒以内・機械音声・原稿はお客様がご用意/1法人1回限り |
| スタンダード | 55,000円 | 3分以内・プロ声優ナレーション/原稿はお客様がご用意 |
| プレミアム | 105,000円 | 5分以内・プロ声優ナレーション+シナリオ作成 |
「発注前に品質を確かめたい」「表現の方向性を庁内で共有したい」という方には、10,000円(税抜)のお試しプランがおすすめです。制作ミスによる修正は、契約期間内であれば無料・回数無制限で対応します。各プランの詳細は料金ページでご確認いただけます。
公開時期から逆算すると、準備は早ければ早いほど選択肢が広がります。「まだ構想段階だけど」という段階でもまったく問題ありません。住民に届く動画づくりの第一歩として、まずはお気軽にお問い合わせください。受付時間は09:00〜18:00(土日祝除く)です。









