コラム

PVとMVの違いとは?発注のポイントや注意点、活用事例のご紹介。

目次

PVとMVって何?その背景と混同される理由

PVとMVの言葉の由来

「PV」と「MV」。どちらも映像作品を指す言葉として使われますが、その成り立ちは異なります。
PVは Promotion Video の略で、直訳すれば「宣伝用の映像」。音楽に限らず、商品やサービスを広く知ってもらうために制作されるケースも多い言葉です。
一方、MVは Music Video の略称で、音楽作品を映像で表現すること自体を目的とした呼び方。アーティストの世界観や楽曲のストーリーを、映像を通して表現するために用いられます。

なぜ混同されやすいのか?

日本では90年代から2000年代前半にかけて、音楽業界では「PV」という呼び方が一般的でした。テレビ番組やレンタルショップなどでも「新作PV集」といった表現をよく目にした方も多いはずです。
その後、海外音楽シーンで「Music Video=MV」という言葉が広がり、YouTubeなどの動画配信サービスを通じて日本にも浸透していきました。
こうした歴史的な背景があるため、今でも人によっては「PV」「MV」のどちらかを自然に使い分けたり、同じ意味だと捉えたりするケースが多いのです。

用語の違いを理解するメリット

言葉の意味を整理することは、映像制作を依頼する際にも役立ちます。
例えば「新曲のプロモーションに使いたい」と考える場合でも、

  • 広告的な要素を重視するなら「PV」
  • 楽曲そのものの世界観を見せたいなら「MV」
    といったように、目的によって呼び方や表現方法が変わるのです。
    まずはこの違いを理解しておくことで、制作会社とのやり取りもスムーズになり、完成映像のイメージがぶれにくくなります。

PVとは?目的・配信先・尺・活用シーンを解説

PVの基本的な役割

PV(プロモーションビデオ)は、その名のとおり「プロモーション=宣伝」を目的とした映像です。音楽業界では新曲やアルバムの発売にあわせて制作されることが多く、視聴者に作品の存在を知らせ、興味を持ってもらうために使われます。
近年では音楽だけでなく、映画や舞台の告知、さらには企業の製品紹介に応用されるなど、幅広いジャンルで「PV」という言葉が活用されています。

主な配信先

かつてはテレビ番組やCDショップの店頭映像が主な発信場所でしたが、現在はインターネットが中心です。

  • YouTubeやTikTokといった動画プラットフォーム
  • Twitter(X)やInstagramなどのSNS広告
  • 企業やアーティストの公式ウェブサイト
  • ライブ会場や展示会での上映

これらの場で短時間に印象を残すことが、PVの重要な役割となっています。

一般的な尺(長さ)

PVは、視聴者の関心を引きつけるために比較的短尺で制作されることが多いです。
音楽の場合は楽曲の一部を切り取って1分〜2分程度にまとめるケースが一般的。映画や舞台では、いわゆる「予告編」として30秒〜90秒程度に収まることが多くなっています。短時間でも作品の魅力が伝わるよう、編集や演出に工夫が凝らされています。

活用シーンの具体例

PVは「初めて触れるきっかけをつくる映像」として、さまざまなシーンで活用されています。

  • 新曲リリース前の宣伝(アーティスト公式チャンネルや音楽番組で公開)
  • 映画や舞台の公開直前に公開される予告編
  • 企業が新商品を発表するときのティザー映像
  • イベントやキャンペーンの集客用動画

このようにPVは、「最初の一押しで関心を持ってもらう」ことに特化した映像だと言えます。

MVとは?世界観・表現手法・視覚演出の意義

MVの本質的な役割

MV(ミュージックビデオ)は、その名のとおり音楽作品を映像で表現することを目的としています。単なる宣伝素材としての役割にとどまらず、アーティストのメッセージや曲のストーリーを映像を通して表現する作品として扱われることが多いのが特徴です。
楽曲の雰囲気や歌詞の世界観を視覚化することで、音だけでは伝わりきらない感情や物語を視聴者に届けることができます。

映像表現の幅広さ

MVでは、実写だけでなくアニメーションやCG、ダンスパフォーマンスなど、多彩な表現方法が取り入れられています。たとえばバンドの演奏風景をストレートに映すシンプルな映像もあれば、映画のようなストーリー仕立てや、抽象的な映像美で世界観を広げる手法もあります。
こうした表現の幅広さが、MVを単なる販促映像ではなく、独立した芸術作品として成立させている要因です。

視覚演出の意義

MVにおける視覚演出は、視聴者の感情に直接働きかける大きな役割を持ちます。

  • ライティングや色彩で曲調の雰囲気を強調する
  • カット割りや編集のテンポでリズム感を演出する
  • アーティストの動きや表情でメッセージ性を高める

こうした映像的な工夫があるからこそ、音楽を聴くだけでは得られない体験が生まれ、記憶にも残りやすくなります。

MVが持つ広がりと影響力

SNSや動画配信サービスの普及によって、MVは世界中のファンに一瞬で届くコンテンツとなりました。特にYouTubeでは、再生回数がアーティストの人気を測る指標のひとつにもなり、国境を越えて共有される文化的な存在になっています。
つまりMVは、単に楽曲を紹介する映像ではなく、アーティストとファンをつなぐ架け橋であり、音楽体験そのものを豊かにする表現手段なのです。

PVとMVの違いを徹底比較

PVとMVはどちらも「映像作品」という点では共通していますが、その目的や見せ方には明確な違いがあります。ここでは、代表的な比較ポイントを整理してみましょう。

目的の違い(販促 vs 芸術表現)

PVはあくまで「作品や商品を広めるための宣伝映像」としての役割が強いのに対し、MVは「音楽そのものを表現するアート作品」として制作されます。
PVは見てもらうきっかけ作り、MVは作品そのものを体験させる場と捉えるとわかりやすいでしょう。

尺の違い(短尺広告 vs 全曲または長尺)

PVは1〜2分程度の短尺が中心で、視聴者の興味を一瞬でつかむことを狙います。
MVはフル尺で作られることが多く、曲全体を通じて表現を楽しませることが目的です。

配信媒体の違い(CM・SNS vs YouTube公式チャンネルなど)

PVは広告としての側面が強いため、テレビCMやSNS広告、展示会など宣伝の場で使われます。
一方、MVはYouTube公式チャンネルやサブスク配信サービスでの公開が一般的で、ファンが自主的に視聴するコンテンツとして位置づけられます。

制作手法の違い(実写・アニメーション・CGなど)

PVは短時間で印象を残すために実写をベースにしたシンプルな構成が多く、テンポの良い編集やキャッチコピーで訴求力を高めます。
MVは実写だけでなく、アニメーションやCG、アート的な演出を大胆に取り入れ、楽曲に合わせた多様な表現が試みられます。


PVとMVの違いを表で整理

比較項目PV(プロモーションビデオ)MV(ミュージックビデオ)
目的宣伝・販促(作品や商品を知ってもらう)芸術表現(音楽の世界観を映像で体験させる)
短尺(30秒〜2分程度が多い)フル尺(曲全体/3〜6分程度)
配信媒体テレビCM、SNS広告、店頭映像、イベント上映YouTube公式チャンネル、音楽配信サービス、SNSでの自主シェア
制作手法実写中心、キャッチコピーや宣伝要素を強調実写・アニメ・CGなど多彩。物語性やアート性を重視

こうして並べてみると、同じ「映像」でも狙う方向性が大きく異なることが分かります。依頼する側も制作する側も、この違いを理解しておくことで、完成後のイメージのズレを防ぎやすくなります。

制作事例:具体例で見る使い分けと効果

新曲リリースに合わせたPV

あるアーティストが新曲をリリースする際、まずはプロモーションの一環として制作したのが短尺のPVでした。
曲のサビ部分だけを切り取って映像化し、SNS広告やテレビ番組で放送。30秒〜1分程度の短い映像でしたが、楽曲のキャッチーさとアーティストの存在感を印象づけ、多くの人に「もっと聴いてみたい」と思わせる効果を発揮しました。
結果としてフル楽曲の配信やMV公開へのアクセス数が増え、宣伝映像としての目的をしっかり果たしています。

世界観を深く伝えるMV

同じ楽曲で公開されたMVは、曲の世界観を丁寧に映像化したものでした。
全編を通してストーリー仕立てになっており、歌詞に込められたメッセージを映像演出で補完。観た人が「曲を聴く」という体験を超えて、物語に入り込んだような感覚を得られる内容でした。
SNS上では「映像を見て曲の意味がより伝わった」といった感想が多く投稿され、ファンの共感や拡散につながりました。

企業商品のPRに活用されたPV

企業が新商品を発売する際にも、PVは効果的に使われます。
例えば新しい飲料のキャンペーンでは、爽やかな映像と短いキャッチコピーを組み合わせたPVを制作し、YouTube広告や駅前ビジョンに配信。数十秒の中に商品の魅力を凝縮し、認知度アップに直結しました。

MVとの使い分けがもたらす効果

これらの事例から分かるように、PVは「興味を持ってもらうきっかけ作り」、**MVは「ファンや視聴者に深く体験させるコンテンツ」**という役割分担があります。
両方を適切に組み合わせることで、初めて知る人からコアなファンまで幅広くアプローチでき、宣伝効果とアーティスト表現の両立が可能になります。

PV/MV制作のポイントと注意点

目的の明確化

まず大切なのは「なぜ映像を作るのか」をはっきりさせることです。
新曲の認知度を高めたいのか、ファンに楽曲の世界観を体験してほしいのか、それとも商品やイベントを広く宣伝したいのか。目的があいまいなまま進めると、完成した映像が「きれいだけれど伝わらない」といった中途半端な仕上がりになってしまいます。制作前の段階で軸を明確にすることが成功への第一歩です。

ターゲットの設定

映像を届けたい相手は誰なのかを考えることも重要です。
10代の若者をターゲットにするのか、社会人層に向けるのか、それによって選ぶ映像のトーンや配信媒体も変わってきます。SNSでの拡散を狙うのか、イベント会場で上映するのか、視聴環境をイメージするだけでも効果的なアプローチが見えてきます。

実績チェック(得意なスタイルや方法)

制作会社やディレクターを選ぶ際には、過去の実績を確認することをおすすめします。
同じ映像制作でも、ライブ感を重視した作品が得意な会社もあれば、物語性のあるMVを得意とするチームもあります。自分たちの目的やイメージに近い制作実績を持っているかどうかをチェックしておくと、完成後のミスマッチを避けられます。

撮影時のテクニック、セッティング、演出の工夫

実際の撮影では、細かな工夫が仕上がりを左右します。

  • 照明の当て方で映像の雰囲気が大きく変わる
  • カメラワークやカット割りで楽曲のリズムを強調できる
  • 小物や背景の使い方で世界観に奥行きを持たせられる

こうした演出の積み重ねが、PVやMVの完成度を高め、視聴者の記憶に残る映像につながります。

外注時にチェックすべき項目:完成とイメージのズレを防ぐポイント

外注でPVやMVを制作する際、最も多いトラブルの一つが「完成した動画がイメージと違った」というケースです。これは依頼側と制作側の認識がズレたまま進行してしまうことで起こります。ここでは、そのズレを防ぐために押さえておきたいチェック項目を整理します。

コンセプト・目的を共有する

まず確認すべきは「何のために動画を作るのか」という目的です。商品やサービスの販促なのか、アーティストの世界観を表現するのかによって、映像のトーンや見せ方は大きく変わります。言葉だけでは伝わりにくいので、参考動画や過去の事例を提示すると効果的です。

想定ターゲットを明確にする

「誰に届けたい動画か」を具体的に設定することで、構成や演出の方向性がぶれにくくなります。年齢層や視聴シーン(SNS、テレビ、ライブ映像など)まで共有しておくと、制作者側が適切な判断をしやすくなります。

演出・表現方法の確認

実写、アニメーション、CGなど、表現手法によって制作工数も費用も変わります。特にMVの場合はアーティストのブランドイメージに直結するため、ロケーションや衣装、照明などの細かい部分まで擦り合わせが必要です。

納期・予算・修正回数の取り決め

完成イメージだけでなく、スケジュールや修正対応のルールも事前に確認しておくと安心です。「修正は何回まで含まれるのか」「納品データの形式は何か」といった実務的なポイントを曖昧にせず、契約段階で明文化しておくことが望まれます。

SEO効果を狙うには—トレンドを意識したコンテンツ提案

PVやMVを制作する際、単に完成度の高い映像を作るだけでは十分とはいえません。せっかくなら、検索やSNSでの拡散を見据えた「SEO的な視点」を取り入れることで、より多くの人に届けることが可能になります。ここでは、近年注目されるトレンドと、それを活かしたコンテンツづくりのヒントを紹介します。

ショート動画(TikTok/YouTubeショーツ)との親和性

短時間で印象を残せるショート動画は、今やプロモーションの王道になりつつあります。PVやMVから「サビ部分だけ」「象徴的なシーンだけ」を切り出して再編集することで、拡散力のあるコンテンツに生まれ変わります。SEOの観点でも、ショート動画は再生回数やエンゲージメントが検索順位に影響する要素になり得るため、積極的に活用したい手法です。

リアクション動画制作のヒント(視聴者の興味を引く構成)

視聴者の共感や驚きを引き出す「リアクション動画」も注目されています。たとえば、新しいMVを公開した際に、ファンやインフルエンサーの反応をコンテンツ化する手法です。単なるプロモーションではなく「第三者の声」が加わることで、信頼性や拡散性が高まります。動画SEO的にも、コメントやシェアを促す構成は効果的です。

アート/CG表現を取り入れた話題性演出

映像そのものの「ユニークさ」も、SEOに直結します。特にSNSでは、思わずシェアしたくなるようなアート性の高い映像や、先進的なCG演出が注目を集めます。「一度見たら忘れられない表現」を仕込むことで、被リンクやメディア掲載につながる可能性も広がります。話題性はSEOにおける間接的な武器となるため、制作段階から意識して取り入れると良いでしょう。

よくある質問:PVとMVの選び方、費用感、制作期間など

映像制作を検討している方からよく寄せられる疑問をまとめました。初めて依頼する場合でも、具体的なイメージが湧きやすいように解説します。

PVとMV、どちらを作るべき?

目的によって選択が変わります。

  • 商品やサービスをPRしたい場合 → PVが適しています。短い尺で要点を伝えられるため、広告や展示会などで効果を発揮します。
  • アーティスト活動や楽曲の魅力を伝えたい場合 → MVが最適です。曲の世界観を映像化することで、ブランドイメージやファン層の拡大につながります。

制作費用はどのくらい?

規模や内容によって幅があります。

  • 小規模なPV(インタビューや商品紹介):30万〜80万円程度
  • 本格的なMV(ロケ・演出あり):100万円以上かかるケースも少なくありません
    使用するカメラ、CGやアニメーションの有無、出演者の規模などで費用は大きく変動します。

制作期間はどのくらいかかる?

スケジュールも制作内容に左右されます。

  • 簡易的なPV:1〜2週間ほど
  • 本格的なMV:1〜2か月程度
    企画・撮影・編集の流れを考慮すると、余裕をもって依頼するのが安心です。特にロケーション撮影や出演者調整が必要な場合は、さらに時間を見込んでおきましょう。

映像制作会社に相談するタイミングは?

「まだざっくりしたアイデアしかない」という段階でも早めに相談するのがおすすめです。制作会社は企画の方向性を固める段階からサポートできるため、結果的に無駄のない進行が可能になります。

目的に応じてPVとMVを使い分けよう

PVとMV、それぞれの役割を理解する

PVとMVは、どちらも映像によって作品やメッセージを伝える手段ですが、その目的や表現方法には大きな違いがあります。

  • PVは、短尺で注目を集める「宣伝映像」
  • MVは、楽曲や作品の世界観を映像化する「表現作品」

どちらを制作するかは、伝えたい内容やターゲット、配信場所によって判断すると、完成後のイメージとのズレを防ぐことができます。

制作のポイントを押さえて依頼する

外注する際には、目的の明確化やターゲット設定、制作会社の実績確認、演出や撮影手法の擦り合わせなどが重要です。
これらを事前に整理しておくことで、制作過程での手戻りやイメージ違いを減らし、より完成度の高い映像に仕上げることができます。


アニメーション映像制作会社「カプセルメディア」のご紹介

カプセルメディアは、アニメーションやCGを活用した映像制作を得意とする会社です。
音楽PVやMVだけでなく、企業プロモーション映像やショート動画など、多彩なジャンルの制作実績があります。

  • 表現力の高いアニメーション制作
  • 映像コンテンツを活用した集客やPRの提案
  • 短尺動画からフル尺MVまで柔軟に対応

「映像で伝えたいことはあるけれど、どう形にしたら良いか迷っている」という方でも、企画段階からサポート可能です。豊富な経験と制作実績をもとに、目的に合った最適な映像を制作いたします。

この記事の監修者
内藤昌和(カプセルメディア代表)
内藤昌和(カプセルメディア代表)
カプセルメディア代表。年間100本以上のアニメーション動画制作・コンテンツ制作を行なっているアニメーション動画制作の専門家。主に企業向けのアニメーション動画広告やSNS動画も得意としており、上場企業から中小・スタートアップ企業まで、幅広い業界の動画提供している。