コラム

【決定版】自治体PR動画制作の教科書|失敗しない5つのポイントと成功事例を徹底解説

「自分たちの地域のいいところを、もっとたくさんの人に知ってもらいたい!」
「PR動画を作りたいけれど、何から始めればいいかわからない……」

自治体や会社の広報担当者さんから、そんな相談をよく受けます。

自治体PR動画制作の教科書

せっかくお金と時間をかけて作るなら、地元の人にも、遠くの人にも「いい動画だね!」と褒められる作品にしたいですよね。でも実は、自治体PR動画の多くが「誰にも見られずに埋もれてしまう」という悲しい現実があるんです。

この記事は、初めて動画を作る人でも絶対に失敗しないための「教科書」です。難しい専門用語は使わずに、プロのノウハウをすべて教えます。

💡この記事でわかること

  • なぜ多くの自治体動画は「再生数2桁」で終わるのか?
  • ターゲット・ストーリー・尺…失敗しない5つの鉄則
  • 関市・秋田県・大分県など「成功事例」の共通点
  • 「松・竹・梅」でわかる動画制作の適正価格
  • 作って終わりじゃない!確実に届ける広告運用のコツ
目次

なぜ自治体PR動画は失敗するのか?再生回数が伸びない3つの原因

多くの自治体や企業がPR動画制作に乗り出していますが、残念ながらその大半が目標とする再生回数や反響を得られずに終わっています。

なぜでしょうか? その失敗には、驚くほど共通した「構造的な原因」が存在します。ここではPREP法(結論・理由・具体例・結論)を用いて、そのメカニズムを解き明かします。

原因1:ターゲットとメッセージが「総花的」になっている

最も多い失敗原因は、1本の動画に「あれもこれも」と情報を詰め込みすぎてしまうことです。ターゲットが「全員」の動画は、結果として「誰の心にも刺さらない」動画になります。

人間が短時間の動画で処理できる情報量には限界があるからです。また、視聴者は自分に関係がないと感じた瞬間に「スキップ」ボタンを押します。八方美人の動画は、視聴者にとって「自分に向けられたメッセージではない」と判断されやすいのです。

例えば、以下のような要素をすべて盛り込んだ動画です。

  • 観光客向けの絶景スポット
  • 移住者向けの子育て支援制度
  • 企業向けの工場用地案内
  • 特産品のおいしさアピール

これでは、観光客には「工場用地」の情報がノイズになり、企業には「子育て支援」が響きません。結局、誰にもメリットが伝わらない退屈なカタログ動画になってしまいます。

「全員に好かれようとする」のをやめ、ターゲットを一人に絞り込む勇気を持つことが、成功への第一歩です。

わかりやすく表にまとめてみました。

項目失敗しやすい動画の特徴成功する動画の特徴
ターゲット(見てほしい人)子供からお年寄りまで全員「30代の子育て世代」など特定の誰か
内容あれもこれも詰め込みすぎ(カタログ)伝えたいメッセージが1つだけ
見た人の反応「きれいな景色だね」で終わる「行ってみたい!」「住んでみたい!」と思う
活用方法YouTubeにアップして満足広告やSNSを使って積極的に届けている
表1:失敗する動画と成功する動画の違い

原因2:視点が「行政(企業)寄り」で、視聴者不在になっている

「伝えたいこと(プロダクトアウト)」ばかりを優先し、「視聴者が見たいもの(マーケットイン)」が欠落している動画は失敗します。

行政や企業は、どうしても「正確な情報」「公平な紹介」「施設のスペック」を伝えたがります。しかし、視聴者が動画に求めているのは「説明」ではなく、心が動く「体験」や「未来のイメージ」だからです。

施設の正式名称をナレーションで長々と読み上げたり、制度の条文をテロップで流したりする動画が典型的です。視聴者は「その施設の名前」よりも、「そこに行けばどんな楽しい時間が過ごせるか(ベネフィット)」を知りたいのです。

主語を「行政(私たち)」から「視聴者(あなた)」に変え、説明ではなく「感情を動かす物語」を提供する必要があります。

原因3:作ることがゴールになり「出口戦略」がない

「動画を作ってYouTubeにアップすれば、自然に見てもらえる」という考えは幻想です。届けるための「出口戦略(広告・流通)」がない動画は、存在しないのと同じです。

YouTubeには毎分500時間以上もの動画がアップロードされています。有名タレントでもない限り、自治体の公式チャンネルをわざわざ検索して見に来る人はほぼゼロだからです。

予算の100%を制作費に使ってしまい、広告宣伝費がゼロというケースです。どれだけクオリティの高い映像を作っても、再生回数が2桁・3桁で止まり、「効果がなかった」と判断されてしまいます。

動画制作は「作って終わり」ではありません。予算の段階で広告費や運用費を確保し、「強制的にでもターゲットの目に触れる仕組み」を作ることが不可欠です。

💡筆者のひとこと
実はこれ、担当者さんだけの責任じゃないんです。上司や関係部署から「私の課のPRも入れてよ!」と言われると断りづらいですよね……。でも、そこで「全部入れると誰にも見られない動画になります!」と勇気を持って伝えるのが、プロの広報担当者の第一歩です。

自治体PR動画制作で失敗しない5つのポイント!企画・構成のコツ

失敗の原因がわかったところで、次は「どうすれば成功するのか」という具体的な解決策を見ていきましょう。
プロの現場で実践されている5つの鉄則を、論理的な理由(PREP法)とともに解説します。

①【ターゲット】「誰に」「何を」伝えるかを1つに絞り込む

ターゲット設定は、勇気を持って「たった一人」になるまで絞り込んでください。他の対象者を「捨てる」ことが、成功への第一歩です。

予算も尺(時間)も限られた中で「誰にでも受ける動画」を目指すと、メッセージが薄まり、結果として投資対効果(ROI)が悪化するからです。マーケティングの世界では、ターゲットを絞れば絞るほど、その層への訴求力(刺さりやすさ)は強くなると言われています。

漠然と「観光客全員」を狙うのではなく、以下のように絞り込みます。

ターゲット設定の例絞り込むことによるメリット
首都圏在住、30代の子育て世帯「自然の中で子供が遊べる」「治安が良い」といった、親御さんに響く具体的なメリットを強調できる。
都会での仕事に疲れた独身女性「癒やし」「デジタルデトックス」をテーマに、静かで美しい映像と環境音だけで構成できる。
表2:ターゲット設定の具体例

「全員に伝えたい」は「誰にも伝わらない」と同じです。八方美人にならず、特定の誰かに深く刺さる企画を目指しましょう。

②【ストーリー】「説明」ではなく「物語」で共感を作る

施設のスペックや制度の「説明」をするのではなく、それを通して得られる体験や感情の変化を描く「物語(ストーリー)」を取り入れてください。

きれいな景色や美味しい食事は、どの自治体にもあります。機能的な価値だけでは、他の地域との差別化が困難だからです。視聴者の記憶に残り、選ばれる理由になるのは、「共感」や「感動」といった情緒的な価値だけです。

岐阜県関市(せきし)のPR動画『もしものハナシ』を見てください。「もしもこの世に刃物がなかったら?」という奇抜な設定で、主婦が野菜をチョップで切ろうとする物語が展開されます。「刃物の出荷額日本一」という事実(説明)を、コメディドラマ(物語)に変換することで、視聴者を惹きつけています。

▲岐阜県関市PR動画「もしものハナシ」。説明を排除し、ストーリーの面白さで最後まで見せてしまう好例。

スペック(機能)ではなく、ベネフィット(体験後の感情)を売りましょう。「説明」をやめれば、動画はもっと面白くなります。

③【尺(長さ)】配信媒体に合わせて動画を「最適化」する

1本の動画を使い回すのではなく、配信するプラットフォームの視聴態度に合わせて「最適な長さ」に編集し分けてください。

スマホでSNSを見ているユーザーは、基本的に「暇つぶし」モードです。興味のない動画は0.5秒でスキップされます。媒体に合わない尺(長さ)の動画を流すことは、予算の無駄遣い(機会損失)に直結します。

以下のように、用途に応じて尺と構成を変えるのが鉄則です。

動画を流す場所おすすめの長さ役割・視聴者の心理
インスタやX(SNS広告)15秒〜30秒【興味付け】サクサク見たい。「続きが気になる!」と思わせてサイトへ誘導する予告編。
YouTubeやWebサイト2分〜3分以内【理解促進】じっくり見たい。地域の魅力を深く知り、検討段階に入ってもらう本編。
イベント会場や待合室3分以上でもOK【ファン化】すでにその場にいる人向け。詳細な情報を届けて信頼を高める。
表3:動画の長さの目安リスト

「大は小を兼ねる」は動画マーケティングには通用しません。媒体ごとの最適化が、視聴率アップの鍵です。

④【差別化】「行政らしくない」意外性で認知の壁を突破する

視聴者が持っている「行政の動画なんてつまらないだろう」という偏見(バイアス)を、良い意味で裏切ってください。

情報過多の現代において、単にきれいなだけの映像は「背景」と同化して埋もれてしまいます。視聴者の指を止め、認知を獲得するには、予定調和を壊す「違和感」や「驚き」というフックが必要です。

秋田県の動画では、「秋田犬」がアイドルグループを結成して歌って踊るという、常識外れの演出を行いました。「えっ、犬が歌ってる?」「行政がここまでやるの?」というギャップがSNSでの拡散(バズ)を生みました。

▲秋田県北部PR動画「MOFU MOFU☆DOGS」。アイドル=人間という常識を覆すインパクトで、「秋田=秋田犬」のイメージを強く残しました。

「行政らしくない」ことこそが、最大の武器になります。自虐ネタや意外なキャスティングで、視聴者の予想を裏切りましょう。

⑤【導線設計】動画を見た後の「ネクストアクション」を用意する

動画の中に、必ず視聴者が次に行うべきアクションへの「出口(導線)」を設計してください。

動画はあくまで興味を持つ「きっかけ」にすぎません。視聴者のテンションが上がったその瞬間に、具体的な行動(検索、クリック、申し込み)を促さないと、その熱量はすぐに冷めてしまい、成果に繋がりません。

「面白い動画だった」で終わらせないために、以下を徹底します。

  • 動画の最後に「〇〇市 移住 で検索」と検索窓を表示する
  • YouTubeの概要欄の一番上に、特設サイトのURLを貼る
  • 動画内のQRコードから、限定キャンペーンに応募できるようにする

動画を「見て終わりの作品」にせず、地域の課題解決(KPI達成)のための「マーケティングツール」として機能させましょう。

💡筆者のひとこと
「ターゲットを絞る」というのは、裏を返せば「ターゲット以外の人には嫌われてもいい」と割り切ることでもあります。八方美人にならず、たった一人の心に深く刺さる動画を目指しましょう!

地方・自治体PR動画の成功事例3選!面白い・感動する動画の共通点

成功している動画には、必ず明確な「勝ちパターン」があります。ここでは、今も語り継がれる3つのレジェンド事例を分析し、その成功要因をPREP法で深掘りします。

【インパクト型】大分県『シンフロ』|圧倒的な話題性で認知を獲得

「温泉×シンクロ」というあり得ない組み合わせで、圧倒的なインパクトと話題性を創出しました。

多くの自治体動画が埋もれてしまう最大の原因は「認知不足」です。詳細な説明をする前に、まずは「何だこれは!?」と指を止めてもらい、ニュースやSNSで拡散される(アーンドメディアを獲得する)ことを最優先戦略としたからです。

大分県のPR動画『シンフロ』では、プロのシンクロナイズドスイミングチームを起用し、県内の温泉で本気の演技を披露しました。「おふざけ」に見えそうな企画を、圧倒的な映像クオリティと技術で真剣にやり切ることで、「面白いだけでなく感動する」コンテンツへと昇華させています。

▲大分県「おんせん県おおいた」PR動画。説明不要の面白さと映像の力が、SNSでの拡散を後押しします。

認知拡大が目的なら、リスクを恐れず「違和感」や「驚き」に全振りする勇気が必要です。「無難な動画」は、誰の記憶にも残りません。

【没入・映像美型】鹿児島県喜界町|「言葉」を捨てて感性に訴求

ナレーションやテロップによる説明を極限まで排除し、映像美と「音」だけで地域の空気感を伝えました。

言葉による説明は、視聴者の脳に「情報処理」を強いてしまいます。逆に、説明を省くことで視聴者の想像力を刺激し、「ここに行けば癒やされそうだ」という直感的な欲求(右脳への訴求)を引き出すことができるからです。また、言語の壁がないためインバウンド(外国人観光客)にもそのまま転用可能です。

鹿児島県喜界町(きかいちょう)の動画では、島の美しい自然、風の音、波の音、サトウキビ畑のざわめきだけが流れます。まるでその場にいるかのような没入感(ASMR的要素)を提供し、都会の喧騒に疲れた層の「行きたい」という動機を強く喚起しました。

▲鹿児島県喜界町PR動画。言葉の壁を超えるので、外国の人に見てもらいたい場合にも効果的です。

「説明しない」という選択肢を持ちましょう。ターゲットによっては、情報の多さよりも「世界観への没入」が最強のPRになります。

【移住・定住促進型】長野県小谷村|ターゲット別の「出し分け」戦略

「観光客」「移住検討者」「若者」など、ターゲットごとに動画の演出や切り口を明確に変え、それぞれのニーズに深く刺しました。

「遊びに行きたい人」と「住みたい人」では、知りたい情報も求めている温度感も全く違うからです。移住検討者には「リアルな生活の様子」が信頼に繋がり、若者には「面白そうな雰囲気」が興味の入り口になります。

長野県小谷村(おたりむら)では、真剣に移住を考える層には「先輩移住者のインタビュー」で不安を解消し、関心の薄い若年層にはRPGゲーム風の演出を取り入れた「オタリクエスト」で興味を惹くという、巧みな使い分けを行っています。

▲長野県小谷村の移住者インタビュー。派手な演出はありませんが、移住を真剣に検討している人には最も響く内容です。
▲同じく小谷村の観光PR動画「オタリクエスト」。ゲーム風の演出を取り入れ、若い人に関心を持ってもらう工夫をしています。

ワンパターンな動画量産ではなく、ターゲットの属性(ペルソナ)に合わせた「演出の最適化」が、コンバージョン(移住相談など)への近道です。

💡筆者のひとこと
面白い動画(インパクト型)は話題になりやすいですが、一時的なブームで終わることもあります。一方で、静かで感動的な動画(エモーショナル型)は、派手さはなくても見た人の心に長く残ります。地域のキャラクターに合わせて選びましょう。

自治体PR動画の制作費用相場と失敗しない制作会社の選び方

いざ作ろうと思ったとき、一番気になるのが「いくらかかるの?」そして「どこに頼めばいいの?」ですよね。ここでは、適正価格の考え方と、パートナー選びの基準をPREP法で解説します。

いくらかかるの?(費用相場)

動画制作費は「3つの価格帯(松・竹・梅)」に分かれます。目的(何のために作るか)によって、投資すべき金額が変わることを理解しましょう。

動画の価格は、スーパーの商品のように定価があるわけではありません。主に「関わるスタッフの人数とスキル(人件費)」と「機材やロケーションの規模(実費)」で決まるため、クオリティを求めれば必然的にコストは上がります。

予算別の制作内容と適正用途をまとめました。

予算の目安制作内容のイメージ適している用途
30万〜50万円・既存写真や素材のスライドショー
・1日程度の簡易的な撮影と編集
・SNS用ショート動画
・記録映像
100万〜200万円※最も多い価格帯(スタンダード)
・しっかりとした企画構成、シナリオ作成
・数日間の本格ロケ、プロのナレーター
・観光PR動画
・移住促進動画
・施設紹介
300万円〜
(上限なし)
・タレント、著名インフルエンサー起用
・オリジナル楽曲制作、高度なCG
・ドローン空撮の多用
※全国区のTVCM規模の場合は1,000万円以上かかることもあります。
・大規模なシティプロモーション
・テレビCM展開
表4:制作費用の目安と内容

「安く作れます」という言葉だけで選ぶのは危険です。「その予算で、目的(集客や認知)を達成できるクオリティが出せるか?」という視点で判断してください。

失敗しない制作会社の選び方チェックシート

パートナー選びで最も重要なのは、「映像美」よりも「行政への理解度」と「マーケティング視点」を持っているかどうかです。

自治体の仕事は、民間企業とは異なる特有のルール(議会承認、公平性、権利関係の厳格さなど)があります。また、ただきれいな映像を作るだけでは、地域の課題(人口減少や観光客誘致)は解決できないからです。

以下の4つの基準で選定することをおすすめします。

チェック項目確認すべきポイント
1. 地方・自治体の実績行政特有の進行管理、リスクヘッジ、議会対応などのニュアンスを理解しているか?
2. マーケティング視点「かっこいい映像」だけでなく、「再生数」「サイト遷移数」など数字への意識があるか?
3. プラスアルファの提案言われた通りに作るだけでなく、広告配信やSNS運用など「届けるための戦略」があるか?
4. 運用サポート作りっぱなしではなく、公開後の分析レポートや改善提案までしてくれるか?
表5:制作会社選びのチェックリスト

「御社の要望通りに作ります」というイエスマンな業者よりも、「その目的形なら、動画よりWebサイトを改修すべきです」と、プロとして耳の痛い意見も言ってくれる会社こそが、真のパートナーです。

💡筆者のひとこと
安い業者が悪いわけではありませんが、安すぎる見積もりには注意が必要です。「安かろう悪かろう」でクオリティの低い動画ができあがると、結果的に予算の無駄遣いになってしまいます。

動画は作って終わりじゃない!再生数を伸ばす広告・運用戦略

動画が完成した日が、本当のスタートです。作って満足せず、しっかりと届ける工夫をしましょう。ここでは、再生数を伸ばし、成果につなげるための「出口戦略」をPREP法で解説します。

SNS広告とYouTube広告を使う

制作予算の2〜3割を最初から「広告配信費」として確保し、ターゲットに強制的に届ける仕組みを作ってください。

どんなに素晴らしい動画も、待っているだけでは誰にも見られません。YouTubeなどのアルゴリズム上、チャンネル登録者が少ない自治体チャンネルの動画が、自然に拡散(バズる)ことは極めて稀だからです。

YouTube広告やFacebook広告のターゲティング機能を使えば、「東京23区に住む、旅行好きの30代女性」といった特定の層にだけ、ピンポイントで動画を流すことができます。チラシをバラ撒くよりも遥かに効率的に、見込み客にアプローチできます。

「見られること」を運に任せず、予算(広告費)を使ってコントロールするのが、失敗しないプロの戦略です。

ネット以外(オフライン)でも活用する

オンラインだけでなく、リアルの場(オフライン)での接触接点を最大化してください。

地元住民や高齢者など、普段あまりインターネットを見ない層へのアプローチも重要だからです。また、ネットとリアルの両方で何度も目にすること(単純接触効果)で、地域の認知度は深く定着します。

例えば、以下のような場所で動画を活用します。

  • 地域のイベント会場や駅前のデジタルサイネージ
  • 道の駅や市役所の待合室モニター
  • 地元のケーブルテレビでの放送
  • 職員全員の名刺に動画QRコードを印刷

生活動線の中に動画を配置し、地域の「空気」の一部にすることで、自然と親近感を醸成することができます。

契約時の権利確認(トラブル防止)

契約前に「いつ、どこで、いつまで」使えるか(二次利用範囲)を明確に合意してください。

著作権や肖像権の制限により、せっかく作った動画が「イベントで流せない」「Webでしか使えない」「1年しか公開できない」といったトラブルが後を絶たないからです。

特に注意すべきなのは、BGMの著作権(テレビやイベントで使う際の追加料金)と、出演者の肖像権(契約期間終了後の動画削除義務)です。これらをあらかじめ「買い取り」にしておくか、利用範囲を広めに設定しておく必要があります。

自由な活用のために、契約段階での権利クリアランス(確認・処理)は必須です。これをおろそかにすると、後で思わぬ追加費用が発生します。

💡筆者のひとこと
いい動画ができたら、職員全員の名刺に動画のQRコードを印刷するのもおすすめです。地味ですが、職員一人ひとりが「広報マン」になれる最強のPR方法ですよ!

自治体PR動画制作に関するよくある質問(FAQ)

自治体PR動画について、よく聞かれる質問をまとめました。

Q1. 予算がほとんどありません。自分たち(内製)で作れますか?

A. 作れます!最近はスマホの画質も上がっています。
予算がない場合は、無理にプロっぽい映像を目指すよりも、職員だからこそ撮れる「地域の日常」や「笑顔」をスマホで撮影し、無料アプリで編集するのも一つの手です。手作り感が逆に親近感を生むこともあります。

Q2. 制作期間はどれくらいかかりますか?

A. 企画から完成まで、最低でも3ヶ月は見ておきましょう。
撮影の季節(桜や紅葉など)に合わせる場合は、半年前から準備する必要があります。自治体の場合は、内容のチェックや修正に時間がかかることが多いので、余裕を持ったスケジュールが必要です。

Q3. 有名な観光スポットがなくて困っています。

A. 「場所」ではなく「人」や「体験」に注目しましょう。
有名な絶景がなくても、「おばあちゃんが作る郷土料理」や「地元の人しか知らない川遊び」など、日常の中に魅力は隠れています。観光客にとっては、そんな「ふつうの暮らし」こそが特別な体験になることが多いのです。

Q4. BGM(音楽)に流行りの曲を使いたいのですが?

A. 著作権(ちょさくけん)の手続きが非常に難しく、費用も高額になるためおすすめしません。
商用利用が可能な「著作権フリー」の音楽サイトから選ぶか、制作会社にオリジナル曲を作ってもらうのが一般的です。

Q5. 動画が成功したかどうか、どうやって判断すればいいですか?

A. 再生回数だけでなく、「視聴維持率(どれくらい長く見られたか)」や「行動」を見ましょう。
例えば、「動画のリンクから移住サイトへ何人が移動したか」などの数字を目標にするのがおすすめです。再生回数が少なくても、ターゲットがしっかり行動してくれていれば、それは「成功」です。

まとめ:失敗しない自治体PR動画制作で地域の魅力を最大限に伝えよう

ここまで、自治体PR動画で失敗しないための「教科書」として、重要なルールを解説してきました。

自治体PR動画制作の教科書

最後にもう一度、成功のカギを振り返りましょう。

  1. 勇気を持ってターゲットを絞る(全員に好かれようとしない)
  2. 役所の説明ではなく、共感できる「物語」を描く
  3. スマホで見られることを前提に、最適な「長さ」にする
  4. 「作って終わり」にせず、広告運用で確実に届ける
  5. 企画段階から二人三脚で歩めるパートナーを選ぶ

これらのポイントを押さえれば、「誰にも見られない動画」になってしまうリスクは確実に避けられます。

しかし、実際の現場では「庁内の意見がまとまらない」「予算内でどこまでできるか不安」「広告の出し方がわからない」といった壁にぶつかることもあるでしょう。知識として「正解」を知っていても、それを実行に移すのは簡単ではありません。

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この記事の監修者
内藤昌和(カプセルメディア代表)
内藤昌和(カプセルメディア代表)
カプセルメディア代表。年間100本以上のアニメーション動画制作・コンテンツ制作を行なっているアニメーション動画制作の専門家。主に企業向けのアニメーション動画広告やSNS動画も得意としており、上場企業から中小・スタートアップ企業まで、幅広い業界の動画提供している。